京都府いちご農園の地下水エアコン導入事例|農業用ビニールハウスの温度管理と冷暖房の実績

農業用ビニールハウス(以降は、ビニールハウス)では、夏場の高温と冬場の低温の両方が作物の生育に大きく影響します。特に近年は、猛暑によるビニールハウス内温度の上昇や、冬場の冷え込みによる生育停滞に悩む農家が増えています。一方で、一般的な空調設備では電気代や導入コストの負担が大きく、継続運用に不安を感じるケースも少なくありません。

そこで注目されているのが、地下水の安定した温度を活用する地下水エアコンです。地下水エアコンは、条件が合えばビニールハウスの冷房・保温に活用でき、既存設備と組み合わせることで温度管理の安定化にもつながります。

今回は、京都府のいちご農園で実際に地下水エアコンを採用した事例をもとに、導入の背景、設備の概要、導入後の効果、さらに農業用途で導入を検討する際の確認ポイントまで詳しくご紹介します。地下水エアコンが自社農場に適しているかを判断したい方は、ぜひ参考にしてください。

地下水エアコンをビニールハウスに採用した背景

地下水エアコンを採用した京都府いちご農園のハウス内部

農業分野で地下水エアコンが検討される背景には、ビニールハウス特有の温度管理の難しさがあります。夏は日射の影響で内部が高温になりやすく、冬は外気温の低下によりビニールハウス内温度が大きく下がります。こうした急激な温度変化は、作物の品質低下や生育不良につながるため、安定した環境づくりが欠かせません。

京都府のいちご農園でも、以前から地下水を活用してビニールハウスの冷房や暖房に利用できないかを模索していました。地下水は年間を通じて温度が比較的安定しているため、夏は冷熱源、冬は保温に役立つ可能性があります。こうした特徴に着目し、ビニールハウスの温度管理に地下水エアコンを取り入れる検討が始まりました。

地下水を活用してビニールハウスの冷房・暖房を実現したいという課題

夏場に高温化しやすいビニールハウスのイメージ

導入前の大きな課題は、地下水を活用してビニールハウスの冷房と暖房の両方を実現できないかという点でした。ビニールハウスでは、夏は高温による作物への負荷、冬は低温による生育停滞が発生しやすく、年間を通じて温度管理が重要になります。

しかし、一般的な空調設備はランニングコストが大きくなりやすく、農業経営における負担が増えやすいのが実情です。そのため、既存の地下水を有効活用しながら、より効率的にビニールハウス内温度を管理する方法として、地下水エアコンの導入が検討されました。

まずは1台から導入し、効果検証後に12台まで拡大した経緯

この事例の特徴は、いきなり大規模導入したのではなく、まずは1台からスタートした点です。農業設備は、カタログ上の性能だけでなく、実際の現場でどの程度の効果が出るかが重要です。そこで最初は1台を導入し、冷房効果を実感したことを受けて、段階的に増設しました。

その結果、現在では合計12台の地下水エアコンが導入されています。段階的な導入は、初期投資のリスクを抑えながら、自社のビニールハウス環境に適しているかを見極められる点で、農業用途において非常に現実的な進め方といえます。

イチゴ・トマト・レタス・パクチーなど複数作物の生育環境改善を目指した理由

導入先では、イチゴだけでなく、トマト、レタス、パクチーなど複数の作物の生育に活用されています。ビニールハウスでは、作物ごとに適した温度帯や管理方法が異なるため、同じ設備でも運用方法を調整する必要があります。

この事例は、地下水エアコンが特定の作物だけに限らず、複数の作物に応用できることを示しています。作物ごとの特性に合わせながら、ビニールハウス全体の温度環境を整えることが、収量や品質の安定化につながります。

導入設備の概要と設置内容

京都府のいちご農園では、株式会社アクアイースターの地下水エアコンを導入しています。


ビニールハウスでは、面積、栽培する作物、既存設備の有無、送風距離などによって必要な機種や台数が変わります。そのため、単に設備を増やせばよいわけではなく、現場条件に合わせた設計が重要です。本事例では、複数の機種を活用しながら、季節や用途に応じた運用ができる構成になっています。

ラジエーター複合仕様 AG-DCS-PR
地下水エアコン。シングルパネル仕様 AG-DCS-P
左‥シングルパネル仕様 AG-DCS-P 右‥ラジエーター複合仕様 AG-DCS-PR
京都府いちご農園 地下水エアコン
京都府いちご農園 地下水エアコン

導入地区・対象施設・導入台数の概要

導入先は京都府のいちご農園で、トマトやレタス、パクチーなどを育てるビニールハウスにも活用されています。導入台数は合計12台です。

1台だけの試験導入にとどまらず、複数棟へ展開されている点は、効果が評価されたことがうかがえます。農業用途で地下水エアコンの導入を検討する方にとって、実際に継続運用されている導入実績は大きな安心材料になります。

シングルパネル仕様とラジエーター複合仕様の採用機種

採用されたのは、株式会社アクアイースターの地下水エアコン「シングルパネル仕様 AG-DCS-P」および「ラジエーター複合仕様 AG-DCS-PR」です。

ビニールハウスでは、夏場の冷房だけでなく、冬場の温度維持も課題になるため、年間運用を見据えた機種選定が必要です。本事例では、それぞれの特性を生かしながら、作物やビニールハウス条件に合わせた運用が行われています。

作物やビニールハウス条件に応じて複数機種を使い分けた設計ポイント

地下水エアコンを農業用途で有効活用するには、作物の種類、ビニールハウスの広さ、既存設備との兼ね合いを踏まえて設計することが欠かせません。本事例でも、単一機種で一律に対応するのではなく、用途に応じて複数機種を使い分けています。

地下水エアコンは、導入すればどの現場でも同じ効果が得られる設備ではありません。だからこそ、現場条件に応じた台数設計や配置、運用方法の検討が重要になります。

導入前に抱えていたビニールハウスの温度管理課題

ビニールハウスの温度管理では、夏と冬で異なる課題に対応しなければなりません。京都府のいちご農園でも、夏場は高温になりやすく、冬場も低温になりやすいことが大きな悩みでした。

単に地下水を使うだけではなく、効率よくビニールハウス内温度を一定化できる仕組みが求められていました。

夏場はビニールハウス内が高温化し、作物生育への悪影響が懸念されていた

地下水エアコン未使用時には、夏場のビニールハウス温度が40℃まで上昇していました。ビニールハウス内の極端な高温は、作物の品質低下や収量減少、生育障害の原因になります。特にビニールハウスでは、真夏の日中にどれだけピーク温度を抑えられるかが重要です。

そのため、ビニールハウスにおける冷房では、空間全体を強く冷やすこと以上に、高温時間帯を減らすことが大きな意味を持ちます。

冬場は低温による生育停滞を防ぐ暖房手段が必要だった

冬場は、地下水エアコン未使用時にビニールハウス内温度が3℃まで低下していました。こうした低温環境では、作物の生育が遅れたり、管理が難しくなったりするおそれがあります。

一方で、冬場でも地下水は18℃前後と安定しているため、この地下水の熱を生かすことで、外気より有利な温度環境をつくれる可能性があります。そのため、冬季の保温対策としても地下水エアコンに期待が寄せられました。

地下水を活かしながら効率よく温度を一定化する方法を模索していた

課題の本質は、地下水が使えるかどうかだけではありません。地下水を使って、実際にビニールハウス内温度を安定させられるかが重要でした。

地下水は安定した熱源である一方、水量、水質、送風設計、排水方法、既存設備との連携など、多くの条件を考慮する必要があります。本事例では、地下水エアコンを単独で使うだけでなく、必要に応じて他設備と連携させながら運用する体制が整えられています。

地下水エアコン導入後の効果

導入後は、夏場の高温対策、冬場の温度底上げ、さらにヒートポンプとの連携による一定温度管理など、複数の成果が確認されました。

地下水エアコンを農業用途で検討している方が知りたいのは、「本当に温度が下がるのか」「冬にも使えるのか」「既存設備と組み合わせられるのか」といった点です。この事例は、それらに対する実践的な回答になっています。

地下水エアコン導入前後のビニールハウス温度比較グラフ

夏場は吹き出し温度を27℃前後まで下げ、ビニールハウス内の高温対策に活用

夏場は地下水エアコンを常時運転し、未使用時に40℃まで上昇するビニールハウス環境に対して、吹き出し温度を27℃まで低下させることができました。

これは、家庭用エアコンのように空間全体を均一に冷やすものではなく、ピーク温度を抑えて作物や作業者への負担を軽減する運用です。農業現場では数℃の差が品質や生育に大きく影響するため、この効果は実用性の高いものといえます。

冬場は地下水の安定した温度を活かし、ビニールハウス内温度の底上げを実現

冬場でも地下水は18℃前後で安定しているため、地下水エアコンを稼働させることで、吹き出し10℃、ビニールハウス内7℃まで温度を上昇させることができました。

完全な暖房設備の代替ではありませんが、最低温度の底上げができる点は大きなメリットです。特に朝方の冷え込み対策として、地下水の熱を活用できる点は、ビニールハウスにとって大きな価値があります。

地下水エアコン単体運転とヒートポンプ連携で管理温度帯に応じた運用が可能に

トマトハウスでは、地下水エアコンに加えてヒートポンプも併用し、ビニールハウス内の温度を一定に保っています。

作物によって適した温度帯は異なるため、地下水エアコン単体で対応する場合もあれば、ヒートポンプと組み合わせて細かく調整する場合もあります。農業用途では、設備を単独で考えるのではなく、既存設備との役割分担を前提に運用することで、より安定した環境制御が可能になります。

作物別・季節別の活用方法

地下水エアコンをビニールハウスで活用する際は、設備の性能だけでなく、作物や季節に応じた使い分けが重要です。

同じビニールハウスでも、イチゴ、トマト、レタス、パクチーでは求められる温度帯が異なります。また、夏と冬でも設備に求められる役割が変わるため、年間を通じて同じ運用をするのではなく、運転方法を切り替える必要があります。

トマトハウスでの地下水エアコン+ヒートポンプ連携による一定温度管理

トマトハウスでは、地下水エアコンとヒートポンプを組み合わせて運用しています。トマトは高温障害の影響を受けやすく、夏場の温度管理が特に重要です。

地下水エアコンで高温ピークを抑えながら、必要に応じてヒートポンプできめ細かな温度調整を行うことで、安定した栽培環境を実現しています。

イチゴや葉物野菜の生育に合わせた冷暖房の使い分け

イチゴ、レタス、パクチーなどの作物では、夏場の高温緩和と冬場の冷え込み対策の両方が重要になります。

本事例では、作物ごとの管理温度帯を踏まえ、地下水エアコン単体運転と他設備との連携を使い分けています。ビニールハウスでは、すべての作物を同じ条件で管理するのではなく、それぞれに適した環境を整えることが重要です。

夏季・冬季で異なる運転方法と温度管理の考え方

夏季は高温ピークを抑えること、冬季は最低温度を底上げすることが主な目的になります。そのため、同じ地下水エアコンでも、季節によって求められる役割は異なります。

本事例でも、夏は常時運転による高温対策、冬は地下水の安定温度を生かした保温という形で使い分けられています。地下水エアコンを農業用途で生かすには、年間を通じて同じ使い方をするのではなく、目的に応じて運転方法を調整することが大切です。

ビニールハウス内の機器配置イメージ図

多台数導入で見えてきた運用上の課題と自動化対応

設備が増えると、冷暖房性能だけでなく、日々の運転管理が大きな課題になります。今回の事例では、10台以上を導入したことで、各装置のON/OFFや地下水バルブの操作に手間がかかるようになりました。

農業現場では温度管理専任の人員を割きにくいため、設備の操作負担を減らしながら、安定して運転できる仕組みづくりが重要になります。

地下水エアコン 電磁弁取り付け写真
左‥地下水エアコン 電磁弁取り付け写真 右‥自動運転装置取り付け

10台以上の手動操作ではスイッチ・バルブ管理の負担が大きかった

1台であれば手動操作でも問題ありませんが、10台規模になると、各設置場所を回ってスイッチや地下水バルブを操作するのは大きな負担です。

しかも、ビニールハウスでは外気温や日射の変化に応じて、適切なタイミングで運転を開始・停止する必要があります。手動管理では対応に限界があるため、省力化と安定運用の両立が求められました。

本体温度センサーとタイマー運転による自動ON/OFF化

この事例では、地下水エアコン本体に温度センサーを取り付け、タイマー運転によって自動でON/OFFできるようにしています。

これにより、現場で毎回手動操作しなくても、一定条件で運転が可能になりました。作業負担の軽減だけでなく、温度管理の再現性を高めるうえでも、自動化は大きな効果を発揮します。

電磁弁の導入で地下水ラインも一斉制御できるようになった

地下水ラインには電磁弁を取り付け、一斉にON/OFFできるようにしています。電磁弁とは、電気信号によって水の流れを開閉する装置です。

これにより、複数台の地下水エアコンをまとめて管理しやすくなり、地下水供給の制御も効率化されました。多棟・多台数運用では、設備本体だけでなく、水ラインの制御も重要なポイントになります。

地下水エアコンが農業用途で向いているケース

地下水エアコンは、どの農業現場でも同じように効果が出る設備ではありません。導入効果を得やすいのは、地下水・設置・運用の条件がそろうケースです。

ビニールハウスのピーク温度抑制を重視したい農家

真夏の高温時間帯を少しでも抑えたい農家にとって、地下水エアコンは有力な選択肢です。ビニールハウスでは、空間全体を大幅に冷やすことよりも、ピーク温度を下げて作物への負荷を減らすことが大切な場合があります。

地下水の水温・水量を活かして冷暖房コストを抑えたいケース

既存の井戸や安定した地下水が利用できる場合は、地下水エアコンのメリットが出やすくなります。地下水の安定温度を熱源として活用できれば、一般的な空調に比べて効率的な運用が期待できます。

ヒートポンプや循環設備と組み合わせて安定運用したい施設園芸

地下水エアコンは、単独で完結する設備というより、他設備と組み合わせることで省エネ性のメリットが出やすくなります。ヒートポンプや循環設備と連携させることで、より安定した温度管理がしやすくなります。

ビニールハウスに地下水エアコンを導入する際の確認ポイント

地下水エアコンの導入を検討する際は、効果だけでなく、地下水の水量・水温・水質・設置スペース、既存設備との連携など現場条件が整っているかを確認することが重要です。

地下水の水量・水温・水質に問題がないか

まず確認したいのは、地下水が安定して利用できるかどうかです。必要な水量が確保できるか、水温が安定しているか、水質に問題がないかを事前に確認する必要があります。

ビニールハウス面積に対して必要台数と配置が適正か

ビニールハウス面積やレイアウトによって、必要な台数や配置は変わります。送風が作物帯にしっかり届くか、点検動線を確保できるかも含めて検討することが大切です。

地域の地下水利用条件や既存設備との連携可否を確認すること

地域によっては地下水利用に関する条件がある場合があります。また、既存の換気設備やヒートポンプとどう役割分担するかも、導入前に整理しておきたいポイントです。

まとめ|地下水エアコンはビニールハウスの温度管理を最適化する有力な選択肢

京都府いちご農園の導入事例は、地下水エアコンがビニールハウスにおいて、夏場の高温対策と冬場の低温対策の両方に活用できることを示しています。1台からスタートし、効果を確認したうえで12台まで拡大した点は、現場での実用性を裏付ける結果といえます。

また、地下水エアコン単体での運用だけでなく、ヒートポンプとの連携や、温度センサー・電磁弁を活用した自動化によって、より安定した運用が実現されています。これは、地下水エアコンが単なる省エネ設備ではなく、ビニールハウスの環境制御を支える実用的な設備であることを示しています。

一方で、地下水エアコンは、すべての農業現場に同じように適しているわけではありません。地下水の水量、水温、水質、ビニールハウス面積、既存設備との連携、運用方法などを踏まえた個別検討が必要です。

ビニールハウスの温度管理に課題を感じている方は、まずは自社の環境で地下水エアコンが活用可能な前提が整っているかを見極めることが大切です。地下水という地域資源を有効活用しながら、作物管理の安定化と運用負担の軽減を目指したい方にとって、地下水エアコンは有力な選択肢になるでしょう。

{{brizy_dc_image_alt imageSrc=
{{brizy_dc_image_alt imageSrc=

お問い合わせ

アクアイースターは再生可能エネルギーを利用した超省エネ空調の設計・開発を得意としております。

お問い合わせフォームやお電話より、お気軽にお問い合わせください。

工事、施工会社様など、弊社技術にご興味がある方も協力会社として募集しております。

メールでのお問い合わせはこちら

製品情報が詳しく知りたい方へ

お電話でのお問い合わせはこちら

電話受付時間 平日9:00〜17:00

主な製品のご案内

Copyright © 株式会社アクアイースター All rights reserved.