地下水エアコンはどんな農家なら導入できる?導入条件をチェックリストで解説

地下水エアコンはどんな農家なら導入できる?導入条件を1分チェックで解説

猛暑が続くと、ビニールハウス内の日中ピーク温度が下がらず「着果や秀品率が落ちる」「作業が危険」と感じる農家は増えています。

結論、地下水エアコンは導入できる農家の条件が明確で、導入条件が合えば高温対策の打ち手になります。

本記事では、地下水エアコンの導入条件を「水・設置・運用」の3点から整理し、1分で分かるチェックリストと導入が難しいケースの代替案まで解説します。

読むことで、導入の可否と次に取るべき行動が明確になります。

結論:導入できる農家は「水・設置・運用」の3条件で決まる

地下水エアコンは「設備を入れればどの農家でも効果が出る」という機器ではありません。

「地下水が使える」ことを前提に、地下水・設置・運用が噛み合う農家ほど効果が出やすいという特性があります。

条件①:地下水(温度・水量・水質)

  温度:地下水は、通年15~17℃と温度が比較的安定しやすい。

  水量:地下水エアコン1台あたり使用水量5~25L/minと機種に応じて必要水量が確保できていているか。

  水質:スケールや鉄・マンガン等のリスクを事前に見立て、前処理・メンテナンス計画を組めること。

条件②:設置(スペース・送風設計・排水)

  送風が届く動線(風が短絡しない/作物帯に風が当たる)

  排水の処理(どこへ流すか、詰まり・泥・藻の管理)

  設置スペース(機器サイズ・搬入・点検動線)

条件③:運用(他対策との併用・管理体制)

地下水エアコンは単独で稼働するより、換気・遮光・循環と役割分担できる現場が向きます。

また、「誰が、いつ、どう運転するか」が決まっている(忙しい繁忙期ほど重要)。

1分で判定:導入可否チェックリスト

自分のビニールハウスに地下水エアコンは導入できるの?

そのような導入を検討されている農家様向けに

以下は「現地調査の前」の導入確度を上げる簡易チェックリストです。

地下水チェック:地下水温・水量

□ 井戸(既存/新設予定)がある、または掘削の見込みがある

□ 地下水温が安定している

□ 必要水量をが確保できている(1台あたり使用水量5~25L/min

水質チェック:スケール・鉄マンガンの懸念

□ スケール(硬度成分)の付着が心配 → 触媒フィルターの取り付けを検討

□ 鉄・マンガンが多い地域 → 空気接触で析出しやすく、配管閉塞リスクあり

設置チェック:設置スペース/送風ルート(短絡しないか)

□ 送風が作物帯まで届く(短絡しない)

□ 機器前後に点検スペースが取れているか

□ ダクト等を使わずとも、風の通り道を作れるか

目的チェック「冷房」ではなく日中ピーク温度を下げたいのか

□ 目的は「ハウス全体を快適温度にする」より、日中ピーク温度を下げて作物の障害・リスクを減らす

相談推奨ライン 判断目安

Yesが「4つ以上」 → 概算試算・現地ヒアリングを推奨

Yesが「3つ以下」 → 代替案(送風設計・換気強化・遮光最適化)から検討

導入が難しいケースと代替案

地下水エアコンは、地下水が必須というわけではございません。

地下水を使用していないお客様には、小型のチラーを使用することで地下水エアコンをご使用いただいております。

地下水が確保できない場合:チラー活用/他設備

地下水の代わりにチラーユニットを搭載することで冷水循環による運転が可能。

1.2kWの小型チラー1台で地下水と同等以上の冷却能力が可能。

アクアイースター チラーユニット

地下水が取れない場合は、地下水エアコン以外(遮光・換気・循環・ミスト等)の最適化へ。

送風が届かない場合:配置見直し/循環扇併用

ハウスは風の設計で体感効果が変わります。
冷風の短絡(地下水エアコン付近だけ冷える)が起きる場合は、配置・向きの見直しと循環扇使用で改善しやすい。

また、架台を組みビニールハウス上部から冷風を送る。

導入条件①:地下水(導入判断の最重要)

地下水エアコン導入のポイントは、水温(通年の安定性)・水量(台数と運転時間に足りるか)・水質(スケール/鉄・マンガン対策が必要か)の3点です。

ここを最初に整理すると、後工程(概算設計・費用試算)が一気に現実的になります。

地下水温:夏は冷たく、冬は温かい

深さ10mくらいの地中温度は、その土地の平均気温にほぼ等しくなっています。

四国九州の南部で20℃、北海道で10℃、東京や大阪では17℃程度です。

もちろん深くなれば地温は上昇しますが、100m程度の深さでは温度の上昇は2〜4℃程度です。

一方、四季のある日本では、冬と夏と地上と地中の間で10~15℃もの温度差が生じています。

つまり、温度が一定である地中は冬には温かく夏は冷たいのです。

地中熱利用ではこの温度差に着目して、効率的に熱エネルギーを利用しています。

(出典:地中熱読本2025|環境省)

水量の目安:台数・運転時間から考える

  使用水量:1台あたり5~25L/min使用。(機種や配管損失によって変動)

  設置目安:ビニールハウス1反あたり 4台設置を推奨。(250m²/台)

  運転時間:24時間運転可能。

水質の論点:スケール/鉄・マンガンが問題になる理由と対策

  スケール:地下水に含まれるカルシウム、マグネシウム、シリカなどのミネラル分が温度変化や濃縮によって析出。

       結果として配管に付着し、性能低下や詰まりを引き起こす。

  対策:地下水エアコンの前処理として、触媒フィルターを使用することでスケール付着を防止。

       (触媒フィルターは、アクアイースターでご提案可能です。)

  鉄・マンガン:空気に触れて酸化されると水が着色したり、配管に付着、堆積し性能低下や詰まりを引き起こす。

  対策:ろ材、ろ過装置、薬品を使用し鉄・マンガンを除去。

導入条件②:地下水エアコンが効く・効きにくいビニールハウスの差

地下水エアコンは、「ビニールハウス全体を冷房する」よりも、日中ピーク温度を下げる設計が基本です。

効きやすさは、冷風の通り道が作れるか(気流)/温度ムラが課題か/面積と台数が整合しているかで変わります。

逆に、短絡や外気流入が多い、過密で風が通らない場合は効果が出にくいため、配置や循環扇との併用設計が重要になります。

目的は「冷房」ではなく日中ピーク温度を下げる設計

トマトなどの作物は、高温による着果不良などの障害に結びつくため、日中ピーク温度を抑えることが安定出荷や品質担保の経営リスク低減につながります。

効きやすいビニールハウスの特徴:気流が作れる/温度ムラが課題/面積と台数整合

  冷風の通り道が作れる。

  熱気は、天井付近に溜まりやすいため、天井付近からの冷風もしくは循環扇を併用する。

  台数が過不足なく配置できる。(1反あたり 4台設置を推奨)

効きにくいケース:短絡する/外気流入が多い/過密で風が通らない 等

  冷風がビニールハウス全体に届かず冷風が短絡する。

  地下水エアコン周辺が密で、吸気・送風が阻害される。

1反あたりの台数目安と配置の考え方(200~250㎡/台の前提整理)

  目安空調可能範囲:ビニールハウス使用時 200~250m²/台、その他で使用時 100~150m²/台

  1反あたりの設置台数目安:4台

  配置:既設設備や作物により異なる

導入条件③:運用(導入後に失敗しないための条件)

設備を入れても、目的が曖昧だと運用の効果が安定しません。

「収量を守る」「秀品率を上げる」「作業安全を優先する」のどれを最優先にするかで、運転時間・台数・併用対策が変わります。

また、ランニングコストを事前に把握しておくことで、導入後のギャップ(想定より電気代が下がらない/管理負荷が増える)を防げます。

目的の優先順位:収量/秀品率/作業安全

導入の目的を明確にすることで、地下水エアコンの効果を最大限活用することができます。目的が曖昧だと、運転時間や他対策の設定がブレます。

日中ピーク温度を抑制し、作物の収量・秀品率を守りたい→地下水エアコン目安空調可能範囲 200~250m²で設置を検討

安全に作業できる遮熱対策を行いたい→地下水エアコン目安空調可能範囲 100~150m²で設置を検討

ランニングコスト

エアコンに対し冷房コスト85%以上削減(地下水使用時)

消費電力年運転時間稼働率年消費電力電気従量料金年デマンド
料金
電気代合計
エアコンEHP100kW2,400時間50%120,000kWh1,939,200円2,178.000円4,117,200円
地下水
エアコン
10kW2,400時間100%24,000kWh387,840円217,800円605,640円

10馬力エアコン10台と地下水エアコン10台(AG-DCS)の比較例

  ※冷房日数100日×24時間、従量料金単価16.16円kWh、デマンド単価1,815円/kW・月で算出

作物別:向いている農家の傾向(トマト/イチゴ)

地下水エアコンは、高温で品質・着果が崩れやすい作物ほど投資対効果が見えやすいのが特徴です。

トマトは、開花・受粉期のピーク温度が収量と秀品率に直結しやすく、イチゴは着果や奇形果リスク、さらに温度ムラの影響が出やすい傾向があります。

作物の弱点(日中ピーク温度/温度ムラ)に合わせて、換気・遮光・循環と組み合わせる発想が重要です。

トマト:開花・受粉期のピーク温度を抑える意味

トマトは、ビニールハウスが高温となると着果不良や品質低下などの障害に関係します。

開花、受粉期は換気、遮光、地下水エアコンを使用し、ビニールハウス最高温度の抑制が最優先となります。

イチゴ:着果・奇形果リスクと温度ムラ低減の意味

イチゴもビニールハウスが高温となることで花粉の働きが弱まり、受精不良、落花、奇形果が増えます。

開花前から開花期はとくに換気、遮光、地下水エアコン、循環扇を使用しビニールハウス最高温度の抑制と温度ムラ低減が必要となります。

事例でイメージ:導入までの流れ(最短ステップ)

導入検討は、いきなり見積ではなく現場情報→電力の確認→概算設計→井戸・水質・排水確認の順で進めると手戻りが減ります。

特に「どこが暑いか(棟・列・時間帯)」を先に整理し、次に電力・温湿度などの前提を揃えると、台数目安や配置、併用案までスムーズに具体化できます。

短いステップで判断材料を揃え、早期に「導入できる、難しい」を切り分ける章となっております。

STEP1:現場情報の整理(図面・面積・作型・既存対策)

まず「どこが暑いか(棟・列・時間帯)」を整理

STEP2:電力の確認(ピーク時間帯の把握)

地下水エアコン導入後のシミュレーションとして

既存設備の月稼働時間、機器消費電力、稼働率、電気料金がわかると試算が一気に現実的となります。

STEP3:概算設計(台数目安・配置・併用案)

設置場所の図面や面積、地下水量や現地に合わせた概算設計を行います。

STEP4:井戸・水質・排水の確認→最終提案

水質調査を行った後、触媒フィルターや前処理の有無をご提案させていただきます。

地下水エアコンで使用した地下水は、そのまま排水もしくはボイラの補給水としても利用可能です。

よくある質問

ここでは、農業分野で導入が多い「地下水エアコン シングルパネル AG-DCD-P」をもとによくある質問に回答していきます。

地下水温・水量はどれくらい必要?

   冷熱源となる地下水温と気温・湿度に依存します。(約15~17℃)

   吹出温度=地下水温+3~7℃程度を目安にお考え下さい。

   必要水量は、毎分5L/min使用します。

既設設備(換気/遮光/循環/ミスト/空調)との併用は?

   併用可能です。

   既設設備では能力不足といった場合に地下水エアコンを導入し、既設設備と併用いただいております。

電力削減の目安は?

   エアコンに対し、冷房コスト85%以上削減した実績がございます。

1反あたりの導入台数の目安は?

   ビニールハウス一反あたり、4台設置を推奨としております。

   導入環境により設置台数が異なりますので、詳しくはお問い合わせください。

水質対策(スケール・鉄マンガン)は?

   地下水をかけ流しで使用するため、スケールに関しては触媒フィルターで除去することができます。

   鉄マンガンに関しては、空気に触れると析出するため、別途前処理が必要となります。

冬季はどうする?(温水併用など)

   地下水はエアコンに温水を使用すれば暖房として運用することが可能です。

   地下水をそのまま流すだけでもビニールハウス内温度3~5℃加温が可能です。

補助金を使用して地下水エアコンを導入できるの?

   補助金採択内容が毎年異なるため、お問い合わせにてご回答させていただきます。

地下水エアコンのデモ機は使えるの?

  可能です。デモ機で効果を体感していただき、ご発注いただくケースがあります。

  ※デモ機費用は、技術者の派遣費を含めて5万円~で実施させていただいております。(遠隔地は要相談)

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