工場の冷房コストを10年で約3,000万円削減へ:地下水エアコン導入事例

地下水エアコン導入事例|ディップソール株式会社様が「地下水×省エネ」を導入した理由

「夏の工場は、暑くて空調コストも割高になる。けれど設備更新は失敗したくない」——そんな悩みは多いはずです。

本記事では、ディップソール株式会社様の導入事例をもとに、導入のきっかけ(SDGs/地下水活用)、デモ機設置、試算(10年で約3,000万円削減見込み)、運用の要点まで整理します。

読むことで、自社で導入できる条件と問い合わせ前に揃えるべき情報が明確になります。

結論|既存地下水の使用で冷房コストと環境対応を同時に進められる

水と森

地下水やチラー水を活用できる環境なら、地下水エアコンは冷房コストの削減環境対応(省エネ・SDGs)を同時に進められる現実的な選択肢になります。

この章では、導入の決め手と導入に適している企業の条件を整理します。

地下水エアコン導入の決め手は「ランニングコスト×地下水温×試算で見える化」

地下水エアコンが選ばれやすい理由は、主に次の3点です。

  • ランニングコスト:主にファンとポンプのみの電力
  • 地下水温:夏でも15〜17℃程度の地下水を冷熱源として使用
  • 試算で効果が見える:導入前のシミュレーションで意思決定

①ランニングコスト:主にファンとポンプのみ

一般的な空調更新は「電気代がどれだけ下がるか」が最大の疑問になります。

地下水エアコンの電気代は、ファンとポンプであるため、条件が合えば電力負担を大幅に抑えながら大空間の冷房を成立させやすいのが特徴です。

②地下水温:夏でも15〜17℃程度の地下水を冷熱源として使用

地下水の強みは、外気温が上がっても水温が比較的安定しやすい点です。

たとえば夏場の外気温が暑い条件でも、地下水を冷熱源として使えると、室温を低下することができます。

試算で効果が見える:導入前のシミュレーションで意思決定

冷房設備は「導入して終わり」ではなく、運用条件によって結果が変わります。

だからこそ導入前に、既設空調と比較したランニングコストのシミュレーションを行い、効果を可視化することが重要です。

導入に適している企業

地下水エアコンは、どんな現場でも万能というより「条件が揃うほど強い」設備です。

導入に適している企業・施設の特徴を判断しやすい形でまとめます。

導入に向いている可能性が高いケース

  • 地下水もしくはチラー水を確保できている
  • 工場や倉庫など、室温を低下したい空間が大きい
  • 既設空調の電気代負担が大きいもしくは夏場のランニングコストが大きい
  • 地下水を既に別用途で使っている
  • 取引先対応や社内方針として、省エネ・環境対応の説明材料が必要

慎重に検討したいケース

  • 地下水の水量・水質に懸念がある(鉄・マンガン等)
  • 設置スペースや送風設計が制約になりやすい(風が届きにくい配置)
  • 既設設備との役割分担が曖昧で、運用が複雑化しそう

この章の結論としては、地下水エアコンは「冷房コストを下げたい」だけでなく、環境対応や地下水の再利用まで含めて検討する企業にフィットしやすい設備です。

次章からは、導入企業(ディップソール株式会社様)が実際にどんな背景で導入を検討し、どのように意思決定したのかを具体的に見ていきます。

導入企業(ディップソール株式会社)概要|なぜ地下水活用を検討したのか

冷房コストや環境対応の社内議論は「理屈では分かるけど、自社で本当に成り立つのか」が最大の壁になります。

そこで参考になるのが、地下水を製造ラインの排水希釈用途で使っていた経験を活かし、地下水エアコンの導入に踏み切ったディップソール株式会社様の事例です。

本章では、同社の事業概要と、地下水活用を検討した背景(目的・課題・意思決定)を整理し、どんな企業が導入検討に進みやすいのかを具体化します。

ディップソール株式会社様

事業概要

ディップソール株式会社様は、金属表面処理剤を中心とした工業用品の開発・製造・販売を行う企業です。

工場では工程上、温度管理や作業環境の改善が生産性・品質・安全性に直結しやすく、夏場の暑熱対策は「快適性」だけでなく、現場運営の重要テーマです。

また、金属表面処理の現場では、水や薬液、設備の安定稼働が品質に影響するケースがあるため、空調のような周辺設備も「止められない」「失敗できない」領域になりやすい傾向があります。

だからこそ、地下水エアコン導入可否の判断は目的だけでなく、データ(試算)と運用設計が鍵になります。

背景:地下水を排水希釈用途で使っていたが「最大限活かしたい」+SDGs対応

ディップソール株式会社様が地下水活用を検討した出発点は、「既に使っている地下水をもっと有効に使えないか」という問題意識でした。

もともと地下水は、製造ラインからの排水希釈用途として利用していたものの、それ以外の用途には活用しきれていなかった状況があありました。

そこに重なったのが、企業としてのSDGs・環境対応への意識です。

単に「節電したい」ではなく、地下水という既存資源を再評価し、運用の中で価値を生む使い方を模索する流れの中で、地下水エアコンが選択肢として浮上しました。

さらに、導入検討の意思決定を後押ししたのが、導入前の試算(シミュレーション)です。

ディップソール株式会社様は、既設空調と地下水エアコンのランニングコストを比較する形で事前にシミュレーションを実施し、結果として10年で約3,000万円のコストカット見込みが得られたことが、導入判断につながりました。
※削減額は、稼働時間・電力単価・設備構成・運用条件により変動します。

加えて、地下水エアコン導入前にはデモ機を設置し、現場での手応えを確認した点も重要です。

空調は、数字だけでは判断しにくい「体感」や「風の届き方」「現場オペレーションへの影響」があるため、デモ機の設置は導入後のギャップを減らす有効なステップです。

ディップソール株式会社様の事例は、地下水エアコン導入の経緯が ①地下水という熱源がある②目的が明確(コスト+環境対応)③試算とデモ機で効果を確認 の3点に集約されることを示しています。

次章では、実際に導入して得られた効果(コスト面、運用面、環境面)をもう一段具体的に整理します。

導入のきっかけ|夏でも低温の地下水を冷房に活かせないか

海と手

工場の暑さ対策で多い悩みは、「空調を増強したいが電気代が高い」「設備を増やしても冷房効果にムラが出る」「環境対応も求められる」の三重苦です。

ディップソール株式会社様も地下水を既に使っている環境がありながら、用途は主に排水希釈用に限られていました。

そこで着目したのが、地下水は夏でも15〜17℃程度の温度という特性です。

既存熱源を冷熱源として活かせないかという発想転換から、地下水エアコンの検討が始まりました。

アクアイースターの提案|地下水を冷房として活用(デモ機設置)

検討を具体化させたのは、アクアイースターからのデモ機設置を含む提案でした。

地下水エアコンは「導入すれば必ず効く」設備ではなく、地下水条件(温度・水量・水質)と、送風設計・設置場所・運用の仕方で効果が大きく変わります。

そのため、机上の説明だけでなく、現場で「どの範囲に風が届くか」「作業エリアの体感がどう変わるか」を確認できるデモ機は、導入判断の不安を下げます。

ディップソール株式会社様でも、地下水エアコン導入前にデモ機を設置して効果を確認したうえで、次のステップ(試算・設計)に進んだ流れです。

地下水は排水希釈用途から冷熱源へ|発想転換が導入の分岐点

ディップソール株式会社様では、地下水はもともと製造ラインの排水希釈用途で使っており、一定の地下水利用がありました。

地下水エアコン導入の価値が「新しい水源を探す」よりも、既存の地下水利用を価値の高い用途として使用するということです。

  • 地下水を冷熱源として使えば、地下水エアコンの主電力はファンとポンプ中心となる
  • 既設空調と比較して、ランニングコスト面の改善余地が出るケースがある
  • CO2削減・SDGsの観点からも説明しやすい(対外発信・取引先評価の観点)

つまり、導入のきっかけは「設備選び」ではなく、地下水という資源の使い方を変える意思決定でした。

地下水の有無・水温・水量の目安だけでもOK。概算の方向性を整理します。

デモ機と試算で地下水エアコン導入イメージを具体化

試算結果

地下水エアコンは、「良さそうだから導入する」で進めると、導入後に想定イメージと異なる可能性がある設備です。

ディップソール株式会社様が導入前に重視したのは、デモ機を使用し現場で効果を体感することと、数字で判断できる形にする(試算)ことでした。

体感と数値をセットで揃えることで、導入の不確実性を減らすことができます。

導入前のシミュレーション(既設空調 vs 地下水エアコン)

導入検討では、既設空調の運用実態を棚卸しし、地下水エアコンに置き換えた場合のコスト感をシミュレーションしました。

ポイントは「設備能力の比較」よりも、実際に使っている時間(稼働時間)や料金体系(従量+デマンド等)を前提に置いたことです。

シミュレーションで確認した主な項目は次のとおりです。

  • 既設空調の稼働時間、稼働率
  • 消費電力
  • 電気料金の構成(従量料金・基本料金・デマンド等の影響)
  • 地下水エアコンでの稼働想定(ファン・ポンプ中心の電力、稼働時間)
  • 運用時の追加要素(水質対策の要否、メンテ頻度の見込み)

この段階で「現場のどこを冷やしたいか(作業エリア、熱源周辺など)」も合わせて整理しておくと、試算結果がより詳細となります。

意思決定のポイント|金額以外の導入条件も揃った

導入の意思決定は、「コスト削減額が大きいほど進む」ということも大切ですが、金額プラスαの材料が揃ったときに進むのが実態です。

ディップソール株式会社様の導入ポイントは、次の3点が揃っていることです。

  1. 現場の納得(デモ機で体感)
    「どこが涼しくなるのか/効きムラはどうか」を現場で確認できる。
  2. 数字の納得(試算で比較)
    既設空調と比べたときのコスト差が、稼働時間や料金前提に基づいて説明できる。
  3. 対外説明の納得(環境・SDGs文脈)
    省エネやCO2削減の観点で、取引先や社外への説明材料にもなる。

この3点が揃うと、導入検討は「設備の話」ではなく、経営判断として前に進みやすくなります。

地下水エアコンの仕組み|地下水を流して空気を冷やす現場目線の理解

地下水エアコン内部構造

地下水エアコンは、低温な地下水を特殊パッドに滴下し、外気(または循環空気)を通して直接空気を冷やす仕組みです。

圧縮機(コンプレッサー)を使わず、主にファンとポンプで動くため、暑熱対策を「省エネでの高温対策」の選択肢として検討されます。

運用イメージ:地下水を滴下パッドに滴下し冷却

流れ(現場でのイメージ)

  1. 井戸・既存水源から地下水もしくはチラー水を使用
  2. 特殊パッドに地下水を滴下
  3. ファンで空気を吸い込み、パッドを通過させて冷却
  4. 冷えた空気を送風(必要に応じて循環扇でムラを均一化)

「除湿」について
滴下パッド方式は基本的に冷却が中心ですが、2段構造として後段に滴下パット、前面にラジエーターを付けることで除湿効果を高められるます。

使用水量、送風温度、滅菌処理について

地下水エアコン1台あたりの使用水量は、機種により異なりますが5~15L/min使用します。

送風温度の目安として、地下水温+5~7℃程度の温度が送風されます。

後段の滴下パッドは、外気に触れるため地下水の滅菌処理(次亜塩素酸)が必要です。

導入の成果|ランニングコストが最大のメリット

地下水エアコン導入で最も評価いただく点は、「暑さ対策を継続できるランニングコストの低さ」です。

猛暑日でも冷房を連続稼働させると、作業環境の改善だけでなく、製品の安定にもつながります。

ここでは、導入後に見えやすい成果を「コスト」「運用」「対外的な説明」の3点で整理します。

※数値の効果は現場条件(地下水温・湿度・設置台数)で変動します。

ディップソール株式会社様に導入した地下水エアコン導入イメージ図。図からは、冷房、暖房2パターン使用できることがわかる。
ディップソール株式会社様 地下水エアコン導入イメージ図

コスト面:ファンとポンプ中心でランニングコストを抑えやすい

地下水エアコンは、一般的な空調のように圧縮機(コンプレッサー)で冷媒を回す方式ではなく、主にファンと汲み上げポンプで運転します。

そのため、空調を稼働させるために必要な電力や構造がシンプルで、冷房を長時間運転しても電気代が膨らみにくいのが強みです。

過去導入実績として、既設ヒートポンプに対して消費電力コストを約80%削減した実績もございます。

運用面:1台で冷房・暖房両方の使用が可能

地下水エアコンは、基本的に冷房用途の印象が強い一方で、温水を使用すれば暖房として運用することができます。

ただし重要なのは「地下水だけで冬の暖房を完結できる」という話ではありません。

冬季の暖房は、必要温度・熱量が大きくなるため、温水源(ボイラ排水、蒸気、排熱、温水循環など)と組み合わせて設計することが必要です。
言い換えると、「冷房は地下水のみを使用し、暖房は現場の熱源と組み合わせて最適化する。」

この運用設計ができると、設備投資の価値がさらに上昇します。

ディップソール株式会社様は、蒸気と地下水を混合させ、65℃のお湯を地下水エアコンに流し暖房として使用しております。

また、地下水エアコン導入前は、製造ラインの排水希釈用に地下水を使用しておりましたが、地下水エアコン導入後は、地下水エアコンで使用した数℃上がった地下水を従来通り排水希釈用途で再利用しております。

対外面:取引先向けにアピールが有効

近年、「省エネ」「CO₂削減」「再生可能エネルギー活用」が取引先や地域から求められる場面が増えています。

地下水エアコンは、通年で温度が安定した地下水を熱源として活用し、圧縮機に頼らない運転ができるため、対外的にもエネルギー負担を抑えた空調機器として説明しやすいのがメリットです。

また、補助金の採択実績もございますので(年度・制度で異なります)、「導入費をどう圧縮するか」という経営判断の会話にもつなげやすくなりました。

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