10℃以上の排水は、熱源として利用可能です
一般に排熱利用というと、90℃以上の高温を想像する方が多いかもしれません。逆に20~30℃の「ぬるま湯」的な温度は、有効活用できないと思われています。
しかし、実はヒートポンプや熱交換器を適切に利用することで、このような低温排熱であっても効率よく利用可能です。本コラムでは、温度域別にその利用方法を解説していきます。
40℃~100℃(高温排熱回収)
この温度域は、主に2つの選択肢が考えられます。
①蒸気熱源として利用
施設内で上記を利用している場合、そこに熱をリサイクルしてあげるのが有効です。
簡易的な方法としては、熱交換器を用いて、ボイラの補給水を加温する方法があります。
また水質によっては、排水を処理して直接補給水として利用することも可能です。熱と水の同時リサイクルとなり、費用対効果も高く得られます。ただし水質に制限がありますので注意が必要です。
更に、近年では約40℃以上の温水を熱源にした蒸気発生ヒートポンプが開発されており、ボイラの代替として使用することができるようになっております。
②暖房・温水熱源として利用
この温度域でしたら、熱交換器と温度制御装置のみで、暖房等の温水供給に用いることが可能です。ポンプの電気代のみで運用できるため、極めて省電力な暖房が実現します。

10℃~40℃(低温排熱回収)
この温度域ではヒートポンプが活躍します。
①蒸気の補助熱源として利用
高温排熱回収と同様に、補給水と熱交換したり、水処理によって直接補給水に使用することで排熱回収が成立します。
排温水が補給水より低温になる場合は、ヒートポンプによる間接的な加温が可能です。
30℃程度の水温があれば、エコキュート等に比べても効率よく運転可能で、ボイラ等と比較してランニングコストを削減できます。
②冷暖房の熱源として利用
水冷ヒートポンプの熱源として用いることで、冷暖房用の冷温水供給が可能です。20℃以上であれば
暖房主体の条件で省エネ効果を発揮しつつ、冷房も可能です。10~20℃であれば、冷暖房どちらに対しても効率的な運転が可能です。

100℃以上(余剰蒸気、排気熱回収など)
高温排気や余剰蒸気の利用もご提案しております。
耐食性の高い熱交換器を用いて、加熱・暖房用途に利用します。
条件によっては冷房熱源に使えるケースもありますので、詳細はお問い合わせください。
10℃以下(冷水排熱回収)
このケースはあまり多くありませんが、冷たい排水がある場合は、冷房もしくは冷却熱源として最適です。
当社の地下水空調システムを応用することができます。
いずれの場合も熱源水の処理がカギ!
上記のいずれのケースにおいても、カギとなるのは水処理です。
排水の水質は施設によって様々で、pHやスケール要因物質などにより設備は過酷な条件にさらされます。これを解決するのが当社の触媒フィルターをはじめとした水処理技術です。
条件によっては、熱だけでなく水そのもののリサイクルができるケースもあります。
当コラムをご覧になっている皆様の省エネ・経費削減の一助になりましたら幸いです。
